411号室から

歯学部に通うMONAの備忘録

ロサンゼルスの備忘録(2)

 
 悪夢の始まりはここからなのであります…。
 
(1)はこちら

 

  • 2016-3-15

AM0:00頃

相方が「きもちわるい…」といってトイレに駆け込みます。ここからが戦いです。明日のディズニー行けないかも、と不安がよぎります。
 

AM1:00頃

少しすると下痢もはじまりこれは食中毒ではないか。海外でこんなこと生まれて初めて、どうしてあげたらいいのかなんてわかりません。とりあえずプチパニック。日本時間を確認して私の父に連絡を図ります。吐いてるのに薬なんて飲ませても意味あんのか?と半信半疑ながらアドバイスを仰ぎます。こういうときライン電話って本当に便利、VerizonのWi-Fi大容量パックで契約していましたが大容量で本当によかった!
 
さらには暫くして気づきます。この部屋水がない!水なんて買ってない、そうだフロントに電話。英語が全くできない私はジャパニーズスタッフプリーズを連呼しますが、ここは学生旅行で手配された格安ホテル…。ノー!といわれ、もう泣きそう、なに、どしたらいいの、ない頭で必死に考えウォータープリーズがやっと絞り出した英語でした。そうです、ここは格安ホテル、その回答もノーであしらわれる。自動販売機なんて英単語は出てくるはずもなく無念、サンキューで電話を切ります。
アメリカの水は飲めるらしいですが半信半疑、おなかを下してる人に飲ませるのは酷なこと…。そんなときに発見したのがコーヒーメーカー!
コーヒーをセットせずに水だけ入れたら煮沸できる!それでお湯を沸かしてお茶のパックを投入!二つしかないので朝を待つまでに三回近く使い回しました。
そんな間相方はもうトイレから離れられないくらい症状が悪化していました。お茶を渡してそれを飲んだところで全く意味なし。
こんなんじゃ脱水症状になってもっと悪化しちゃう!海外旅行にいくなら絶対にスポーツドリンクの粉を持って行かねばだめです!教訓ですね…。
 

AM2:00

もうこれ以上待っていても悪化の一途をたどりそうなのでクレジットカード付帯の保険を活用して24時間対応の安心ダイヤルにホテルの電話から連絡を試みます。繋がった!とにかく全く英語が話せないので日本語が通じる病院をなんとしてでも手配してほしいと伝えます。
 

AM3:00

もう眠気マックス。何となく少し吐き気も収まってる様子だったので、お茶を用意して眠ります。
 

AM7:00

病院の手配が済んだと連絡をもらう頃にはすっかり朝です。英語ができないを強調しまくった結果、ホテルのフロントにも保険会社の方が今の状況を伝えてくださりタクシーまでも手配してくださるとのこと。
 

AM8:30

今日はグラミー賞の授賞式が行われる日です。太陽が燦々と照っています。
やっと病院に向かいます。
ホテルのフロントの方がわざわざ外まででてお見送り。タクシー運転手も体調が悪いことを知っていたのか窓を全開にしてくれていました。
 

AM9:00

今までは序章、ここからが本番でした。
ERではかなりの人数が座って待っています。ERの前の廊下にも座り込んでいる人がいます。受付のお姉さまは英語でなにやらこの問診票を書けといっているようですが見てもさっぱりわかりません。
さてはこんなのを大学の医療英語の授業でやったぞ、覚えてないけど。
わたしが書けるわけ…、途方にくれてさらには相方に水がほしいといわれもうどうしようもありません。
困り果てていると優しいその病院の守衛さんがちょっと待ってくれといって電話の同時通訳スタッフに連絡を試みてくれます。その方にすべて現状を伝えるとER室に情報をそのまま伝えてくれさらにはERスタッフが丁寧に問診票の記入を済ませてくれました。
 

AM10:00

ERは病状の重い人順で案内されるようで待てど暮らせど順番がやってきません。
というかまてまて、日本語しゃべれるスタッフいるところにしてくれって保険会社の人に伝えたよね?確認すべく携帯から早速電話。すると日本語通訳を電話ですると言ってくださりました。一安心。
 

PM12:30

病院に到着してから3時間くらいだったでしょうか、採血の末やっと病室のベッドに案内されます。
そういえば採血してくださった医者は手慣れた様子で、こんな患者五万と見てるのか「魚介類食べるときはワイン飲まないと~」と笑いながら言っていました。今更…。
ベッドでは点滴をしながら寝ています。やっと体調が少し戻ってきた相方をみて心底ほっとします(食中毒なんて12時間でだいたいよくなるもんだけど)大事に至らなくてよかった。
 
本当に明日帰国できるのだろうかと不安なので延泊のことを旅行会社に訪ねると本人のみの延泊料金と航空券の手配はできるとのこと、トホホ。もうもうわたしも疲れた、と投げやるわけにもいかず、とりあえず延泊になるかもしれないという旨をJTBのアメリカ支局にも伝えねば。
連絡を終えて、正直気分はもうどうにでも、なるようになるさー。昨晩は全然寝てないので少し椅子で仮眠。
看護師の方がなんどか来ては「ピーピー!」と言いおしっこが出たかと何かと点滴の入れ替えの時にチェックしに来ます。おしっこが出ると言うことは脱水症状が改善されたということのようです。
 

PM3:00

数時間寝ておしっこも出るようになり少し元気を取り戻した相方の元に医師がやってきてやっと通訳を介しての会話が実現します。診断書を書いてもらうに当たっては、延泊が必要との旨を医師に記載してもらわなければ延泊分の代金は下りないと保険会社にいわれたのでお願いをします。
英語がしゃべれないばかりに本当に無様な姿をみなさまにさらすことになり恥ずかしいばかり。
もう大丈夫とのことで看護師がまたタクシーを手配してくださり出口までお見送り、タクシー運転手は病院から指示を受けていたのか薬局に寄ってからホテルに向かいます。
 
さてさて、薬局ですが処方箋の提出も長蛇の列、さらに薬の受け取りに30分以上かかる始末でそれに加えてアメリカの薬は鬼のように高い…。
薬の受け取りを待ってる間にホテルに戻って食べる冷凍食品とカップヌードル、余裕を持って水も買い込みそのほか必要なジュースなどを調達します。
そんなこんなで薬局では相当な時間を費やしました。その間タクシードライバーにはずっと待ってていただきました。
 

PM4:00

やっとこホテルに到着する頃には私ももう限界、これぞバタンキュー、時間の感覚も狂いそうなくらい眠い。
 

PM???

ふと起きるとおなかが減ってる…。そうださっき買った冷凍のラザニアとカップヌードルでも食べよう。
病院を出たときよりさらに元気になった相方が率先して作ってくれました。はんぶんこをします。固形物を経口摂取できるようになったなんてもう元気じゃないか!
 
明日延泊せずに帰れる様子だったので保険会社とJTBのスタッフに連絡します。本当にお騒がせしました。
 
あぁ、もう今なら本当に無限に寝られそう…。
 
 
  • 2016-3-16

お昼の便なので朝9時頃に起きて空港に向かうバスに乗り込みます。ユニオンステーションからとてもきれいな大型バスが出ています。

JTBの方からは自社手配のバスかもしくはタクシーをおすすめされますがだいたい1人60ドル前後のようです。電車はアクセスが悪いようでやめておいた方がよいと説明を受けました。

まあ自社の売り上げがかかってるから言わないんだろうけど…。Flyawayを使えば9ドルでLAXまでいけます(現金での購入は受け付けておらず、クレジットカードのみのようです)。

 

無事予定通り空港に到着すると、どうしても食べたかったものがあります。それはピンクス!けれどどこを探しても見当たりません。トリップアドバイザーにはあるって書いてあったのに…。LAX店は閉店してしまったようでした。非常に残念、仕方なくアメリカと言えばバーガーなのでフードコートの肉汁たっぷりバーガーに舌鼓です。

 

空港でおみやげもゲットして飛行機に乗り込みますが、ここで気づいてしまいました。

なんと座席がバラバラこんなの人生で一度も経験したことないです。思わず目を疑ってしまいました。既に決められているものです、もうつべこべ言っても(英語はなせないからスタッフに伝える気力もない)変わらないのでとにかく寝る、読書、寝る、映画、読書で12時間を乗り切ります。

 

  • 2016-3-17

 無事成田着、もう心も体もヘトヘト。胃が痛くてわたしの命の綱でもある太田胃散にたよります。

リムジンバスに乗り、もう歩く気力も残ってないのでタクシーに乗ります。そうだここは日本、チップ制度などないけれどもう「おつりは大丈夫です…」

 

  • 総括

そんなこんなで無事予定通りの日程で日本に帰国することが実現しました!無事が一番です。帰国後しばらくして病院の請求が来たようですが想像を絶する金額でした。さすがアメリカ。もし保険に入っていなかったらと思うと…。

振り返ってみたら結論が2つでました。「格安旅行では絶対に海外に行かない」「必ず保険加入をして海外へ」です。

価格ばかりに目を捕らわれていた自分に心底がっかりします。値段よりいくらかツアーのグレードをあげても安心安全を優先するべきでした。

実は今回泊まったホテル、1階がディスコで初日の土曜日だけはガヤガヤ一晩中うるさかったです。ベッドの質も最悪シャワールームもかなり狭い…。(格安ツアーなのでしょうがないですね)

韓国に行った際もJTBの格安ツアーを利用しましたが、そのときはぜんぜん悪いイメージなかったんだけど…。

当分はもうアメリカ本土への旅行は遠慮したい気分です。英語が多少話せるようにならないと、このまま渡航するのは正直怖い。ハワイかグアムの日系ホテルか日本語スタッフのいるホテルでのんびり過ごしたい気分です。

 

 私はあまり村上春樹さんの作品は読まないのですが、この本の帯にとっても興味深い言葉が記されていたので。

 旅先で何もかもがうまく行ったら、それは旅行じゃない

 こんな思い出に残る旅行ほかにないですね。本当は帰国してディズニーに行けなかったことを悔やんでいたのですが時が経つにつれてそれも良い思い出話になります!今日も元気に、元気が一番です。